第11回
サーフィン用のドライスーツって、どうなの?
サーフィンでは、この7〜8年、ドライスーツをオーダーして作って、「これが最高ですよね」って言うやつが世の中にずいぶんいるけど、フード付きにするとドライスーツとして使えるんだ。でもフードがないドライスーツは首が絞まっちゃって話にならないわけよ。
だから、「ドライスーツがいいです」という状況というのは、北海道の雪の降る中で「どうしてもサーフィンをやりたい」って言う人がフードを被って、手袋して、ブーツを履いてドライスーツを着るというのは正解だと思うけど、そうじゃない地方では、やっぱりちょっとやり過ぎじゃないのって思う。
だから、おれはずいぶん前から考えてきたのは、サーフィンの場合、水が入っても暖かいウェットスーツということに考えを巡らせている。たとえば、ほかのマリンスポーツの場合、ウインドサーフィンもそうだし、サップもそうだろうし、ダイビングなどもそうだろうけど、サーフィンのように気が狂ったみたいに、ダッシュする勢いでパドルをしたりしない。
ほかのマリンスポーツは体の動きがサーフィンとは違うんだ。一般的に言われていることだけど、ウインドサーフィンは土方仕事みたいだし、サップはレレレのおじさんで、タラーリと漕いでいるだけだし、ダイビングの場合は、水の中に入ったところで、まったくスローモーな動きじゃない。ただジーと水の中に沈んでいるだけじゃない。
ウェットスーツの水の出入りを止める方法というのは、手首、足首、首回りだけど、首を絞めると死んじゃうというわけで、それではどこを締めるかというと顔の回りなんだよね。フードをくっつけて、顔の回りをいくら締めつけても問題ないんだよね。ダイビングの場合はどうせマスクしているじゃない。
だから、ぎゅっと押しつけていれば、そこから水が入らない。だから、フード付きのドライスーツは使えるわけなんだよ。サーフィンの場合は、波待ちをしていて、うしろから来る波の音などを聞かなければいけないじゃない。やはり耳の穴は開けていないといけないよね。だから、サーフィンのフードは耳の穴が開いているのが多い。音もバランスをとるのに大事な要素だからさ。そういったことをすべて勘案すると、サーフィン用としてドライスーツというのは考えにくいよね。