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環境問題に思うこと

文:川南 正

 

5年前の2019年以来、SDGs(なるものが発表され、今もなにかと「SDGs!」、「SDGs!」と世の中は叫んでいる。おれがサーフィンを始めたころ、汚れた川からいろんなゴミが流れて波間に浮いているのを海の中で見て、なんとかしないとこっちが病気になっちゃうと思ったものだ。

 あれから50年たってやっと世間に、らしい話が出てきた。いまさらなんだけど、おれたちサーファーが使う道具は、化石燃料からつくられたウレタンフォームのサーフボードと、同じく有機溶剤を含んだネオプレーンゴムのウェットスーツだ。そんな道具を使って自然界の波の中でどんなに偉そうなことを言っても無駄にも思える。

 おれは、そのネオプレーンゴムを使ってウェットスーツをつくる商売をしてきた。巷では、もっともなように「うちのウェットスーツは天然ゴムでつくっています」などと宣伝を打っているやつもいる。ずいぶん前から、おれも調べているが、日本国内でこの天然ゴムを主成分どころか、その成分を含んだ製品を製造しているウェットスーツの生地メーカーは存在しない。国外の一部のメーカーが製造しているだけなんだ。そこで、なぜ日本の生地メーカーが天然ゴムを使った生地を生産しないのか調べてみると、ゴムの質が良くないのだ。輪ゴムが少し古くなるとブツブツ切れてしまうのを、みんなも経験していると思うけど、天然ゴムの生地もまた古い輪ゴムと同じような症状が起きるらしい。

 ZERO(ゼロ・ウェットスーツ)は世界でいちばんのウェットスーツメーカーをめざしている。動きやすさ、耐久性、すべての面でどこよりも良質なウェットスーツをつくることが大事だと思っている。

 車に乗っている人も多いと思うけど、おれは、車のタイヤメーカーの生産国がどこなのか、いつも気にしている。どこの国でつくられたタイヤなのか?タイ、インドネシア、中国、日本?みんなは、どこの国でつくられたタイヤで高速道路を走りますか?そう!おれは日本製を選ぶ。なぜならば、長持ちして安心・安全だから。ウェットスーツのゴムもそう。早くダメになってしまうウェットスーツより長く使えるウェットスーツのほうがいいよね。日本製のネオプレーゴムも1、2年で固くなる。しかし、ブツブツと中のスポンジが切れて水がしみてくることは少ない。ZEROのウェットスーツは、経年使っていると保温力は落ちてくるけど、外国のウェットスーツよりは遥かに長持ちする。

 話は戻るけど、SDGsを考えると2年ごとに新しいウェットスーツを作り変えるより、良いものを長く着たほうが、よりSDGsのような気がする。サーファーが地球に優しくない道具を使って自然界の海の中で楽しむことを考えても、今はどうにもならない。「別なやり方もあるのかな」って、思考中だ!それは、多くの企業がやっている、「地球を汚すぶん、別の方法で持続可能な社会に貢献する方法」かもしれない。そこでZEROは、JNEPS(日本自然環境保全協会)に協力することで、SDGsを達成させる試みもひとつの方法ではないだろうかと実行中なのだ。

 

一般社団法人日本自然環境保全協会(JNEPS)






 

 

注:持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標だ。17のゴールと169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。

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