第4回
ウェットスーツのゴムの厚み
ゴムの厚み、ゴム厚は、5mm、3mm、2mm、1mmなどがウェットスーツの生地として使われているけど、ウェットスーツのスタイル(フルスーツやベストなど)やサーフィンする場所、季節などのさまざまな要因によって生地の厚みは変わってくる。ゼロ・ウェットスーツでは、通常、冬用ウェットスーツは3.5mm厚のゴムを使っているけど、めんどくさいので小数点以下を切り捨てて3mmって表示している。もともとゴムの厚みというのは延びたり縮んだりするので、本来正確なものじゃない。メーカーも0.5mmは誤差の範囲だと言っている。
昔、おれはゴムを製造している工場を見学しに行ったことがあるんだけど、その製造工程を見ると、2cmから5cm、15cm、現在ではもっと厚くて20〜30cmぐらいの厚みがあるスポンジ(ネオプレンゴム)をでっかい四角いフライパンの上で焼いていた。そのあと、焼いたスポンジをスライスする。俗に半裁って言うんだけど、ゴムを半分、半分と割っていく。両側にローラーがあって、真ん中に刃物がついている機械があって、ゴムを挟んでそこを通していって、半裁していく。
結局、コストを考えると何度も焼くのが面倒くさいから、厚く焼く傾向にある。ネオプレンゴムは独立気泡だから、スライスしても気泡がゴムの生地本体を突き抜けていることはない。スライスすると細かい穴とかでこぼこはあるけど、表面に接着剤を塗ってその上からジャージを張るから問題はない。ノリが被膜になっているからね。
でもジャージを貼っていないスキンタイプだと、柔らかいゴムだと、「ツメやフィンなどで表面をひっかいたりして傷つけちゃうから嫌だ」って言う人が多いね。ここだけの話だけど、昔、オニールが使っていたラバテックスという生地はひじょうに合理的で丈夫なゴムだったんだ。でも価格が高かったから、ジャック・オニールは安いゴムを探しに日本に来た。
それでセド科学はラバテックスのように気泡の跡を、後からプレスで付けて販売しはじめて、アメリカにも輸出するようになって、オニールもそのゴムを使いはじめた。前にも書いたけど、最初の会社でもセド科学のゴムを使っていた。